マレーシアはASEANの盟主国で人口は3,200万人。人口比率はマレー系が67%、中国系が25%、インド系その他が8%といった、多民族国家です。
東南アジアでは独立から現在に至るまで1つの政権が継続している唯一の国で、政治・社会情勢が安定しています。また、ビジネス環境が良好・インフラなどの設備も諸国に比べて整備されているという特徴もあることから、「日本人が住みたい海外の国ランキング」では11年連続でNo.1の座を手にしています。その他にも、過去に日本の経済成長を見習う政策が行われたこともあり、日本に対する尊敬や信頼感も強いため、海外へ販路を展開する際の第一歩としては理想的な国だと思われます。
上記の様な理由や観光ビザの緩和もあり、日本への観光客も増加していることで、帰国後も日本の食品や製品を求める機会が大幅に増えています。
「ビジョン2020」という長期計画を基に、2020年の先進国入りを目指すマレーシア経済は、リーマション・ショックで一時的に落ち込んだものの、経済成長率は堅調に推移しています。直近は一時期の急成長は見られないものの、GDP成長率は4%台後半を維持しており安定しています。マレーシア経済はいまや1人あたり名目GDPは11,955米ドルと、相当な地位に達しています(2014年JETRO調べ)。
一方で1人当たりGDPを見ると1万ドルを越えており、シンガポールを除くASEAN諸国の中で一番高い水準となっています(タイの約2倍)。そのため、人口は3,000万人程度と大きくはありませんが、製造業の基地としてだけではなく首都クアラルンプールを中心に消費市場としても注目を集めています。IMF:World economic outlook databaseより
マレーシアの政治概況
マレーシア連邦下院(定数222)の総選挙が2018年5月9日投開票され、マハティール元首相(92)が率いる野党連合・希望連盟が過半数の113議席を獲得し、与党連合・国民戦線に勝利した。マハティール氏は2003年に引退するまで22年間務めた首相に返り咲いた。
マハティール・ビン・モハマド(Mahathir bin Mohamad)
マレーシアの政治家、医師。現在、同国首相。同国首相の中では最長の22年間(第4代:1981 – 2003、第7代:2018 – )を務めている。開業医から政治家に転じ、欧米諸国ではなく、日本の経済成長を見習おうというルックイースト政策をはじめ、長期に及ぶ強力なリーダーシップにより、マレーシアの国力を飛躍的に増大させた。
マハティールは、英領マラヤに生まれており、日本軍のマレー半島侵攻が始まった時、高校生であった。
少年マハティールはイギリスの圧倒的な国力を知り、長年のイギリス支配により「白人は無敵」との白人に対する劣等感があったため、日本は負けると思っていたが、その予想に反して日本軍は快進撃を続け、短期間でマレー半島からイギリス勢力を一掃した。この時、マハティールは初めて「白人が敗北することもある」と学んだ。
日本軍占領時代のマレー半島は、イギリス支配下の時よりも食糧事情が悪化しており、マハティールも学校を退校するなどの不幸に見舞われており、日本の侵略は不幸なこととしている。しかし戦後、日本を訪問し、様々な企業を視察するうちに日本人の勤勉さに打たれ、日本に学ぶべきとの思いを抱くようになった。
81年に首相に就任し権限を握った。日本での実地観察を生かす時が来た。日本を手本に、マレーシアを発展に導く覚悟は出来ていた。「ルック・イースト政策」を打ち出した。米英は手本にならないと言い切っている。
息子や娘を日本の大学に留学させたり日本に関する著書を出したり、現在では日本人と共同でベーカリーを経営するなど熱烈な親日家である。